2007-09-30

今、MIT Sloan Management Reviewの一部が只で読める

今、IBMがスポンサーで、掲題雑誌記事が一部無料でダウンロードできるようだ。
(1)Global Business
(2)Innovation
(3)Leadership
(4)Strategies
(5)Maketing
のカテゴリー毎に、最新の動向を概観する記事とともに、過去Sloan Management Reviewに掲載された論文が何点かずつ紹介されており、それらは無料でダウンロードできる。

先に、このBlogでもハーバード大学クリステンセン教授のDisruptive Innovationについて書いたが、同教授の最新論文、"Fingding the Right Job For Your Product"も無料でダウンロードできる。大変興味深い内容だった。

従来から、競争戦略の常套手段といえば、「セグメント化」。市場や顧客をセグメント化し、自社のポジション(位置取り)と競合他社を比較し、自社の強み・弱みを考慮して、次に攻めるセグメントを決める、というもの。

クリステンセン教授は、これをセグメント化の罠と呼んでいる。従来の市場セグメントや顧客セグメントという分析軸は、競合他社も全く同じ軸で競合力を分析しており、競争に勝つ打ち手を打ったとしても所詮似たようなものしか出てこないこと。また、新しいセグメントを開拓し、新製品を投入しても、2番手、3番手企業に容易に真似されやすいこと。1番手企業として新製品投入費用を回収する前に、2番手、3番手企業がより安い同等製品を投入してきて、価格競争で負けるケースが頻発していること。

そこで、クリステンセン教授は、従来のセグテント化の軸を一端忘れて、"Job"によるセグメント化をやるべきと説く。

「ジョブ」によるセグメント化というのは英語のニュアンスがわたしには理解しにくかったが、家具のIKEAの例で、なるほどとわかった。

家具業界では、従来セグメント化の軸として、品揃え、デザイン、品質・価格といったものが一般的に使われていた。数百種類のソファを大規模展示場に陳列する、北欧スタイルのダイニングテーブルを揃える、高級家具だが、比較的購入しやすい価格帯で勝負する、とか。

ところが、家具を購入する顧客の側に立って、家具を購入する「ジョブ」を遂行する顧客は、どういう意思決定を迫られているか、どうすればその「ジョブ」(ミッション?)を成功裏に遂行したことになるか、と考える。すると、顧客が家具を購入する「ジョブ」は大きく2つに分けられる。1つは、新婚カップル、学生などが、初めて住みかをセットアップする場合。2つ目は、最初の住みかを卒業して、いよいよマイホームを取得し、ずっと将来まで使える家具を揃えたい場合。

その2つの全くことなる「ジョブ」を遂行しようとする顧客に対して、従来の、品揃え、デザイン、品質・価格という軸でセグメント化した競争戦略を検討しても、有効な戦略はでてこない。

IKEAは、1つ目の初めて住みかをセットアップするという「ジョブ」を持った顧客が多くいること、そういう顧客ニーズに従来の家具業界は応えていないことを、顧客の行動分析、シナリオ分析から導き出し、そういう顧客に、次のような便益を提供して成功した。

(1)豊富な在庫(その場で買える)
(2)持ち帰って自分ですぐに組み立てられる(すぐ使える)
(3)家具だけでなく、台所用品、ベッド用品、室内装飾品まで揃えられる

わたしは、なるほどと頷いたのですが、果たしてみなさんはいかが考えますか?

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