2007-10-23

ウォールマートが凋落する日が来るのか??


売上40兆円を越える世界最大のリテール企業、ウォールマートは、ITで武装されたサプライチェーンにより"everyday low price"を実現するダントツ企業と謳われてきた。果たして、SCMの差別化による繁栄は永遠に続くのか、それともウォールマートに打ち勝つ企業が登場するのか?CIO誌最新号のウォールマートに関する記事を読んで、いろいろなことを考えさせられた。

HP社のRandy Mott,CIOは元ウォールマートのCIOだった人。Randyの後を受けてウォールマートのCIOに就任したKevin Turnerは、今はマイクロソフトのCOO。そしてウォールマートのデータセンター担当VPだったRick Dalzelは、Amazon.comのCIOとしてアマゾンのITを作り上げ、今年リタイアの予定。

過去ウォールマートのITを作り上げてきたこうした先人が去った後、ウォールマートのITを担当したRollin Ford,CIOはRFIDの導入を推進してきたが、うまくいっていない。ウォールマートの取引先は2万社に上るといわれるが、RFID対応に成功したのはそのうちの約3%に過ぎないといわれている。

RFIDに取り組んだ取引先は、ビジネスを失いたくない一心で、ROIとしては失注を防ぐの一点のみ。RFIDの高い導入コスト、高い業務ハードルに対して、取引先にとって目に見えるビジネスメリットがないことが導入が進まない原因といわれている。

ウォールマートは、SCM改革を突き進め、今後もITで武装された本社組織が適切な意思決定を適時行うことで、
(1)在庫効率を高める
(2)高品質製品を提供する
(3)低価格
(4)店舗運営効率を高める
そうすれば、グローバル競争に勝ち残れるとしている。

一方、競合のTargetやTescoは、ウォールマートが誇る手作りのITによるSCM機能を、市場に流通しているPKGソフトですでに実現しており、さらにその上でWeb販売のしくみを構築したり、CRMによる新しい事業を伸ばしているとの報告がある。

ウォールマートは昨年、HP、Oracle社が販売するビジネス・アナリティックスのPKGソフトを密かに導入。また10月18日の発表では、SAP Financialを2010年までにワールドワイドに導入するとのこと。

SAP移行にあたっては、従来の手作りITはレガシーシステムとなり、いずれ捨てられる運命。SAPへの移行が面倒な複雑なレガシーシステムとなると推定される。

(1)ウォールマートはなぜ手作りITによる差別化戦略を捨てるのか?
(2)ITは結局誰でも金を出せば買えるコモディティとなり、事業差別化要素とはなり得ないのか?

こうした問いへの回答が求めらるている企業は、日本にもたくさんあるのではないか??

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