2007-10-10

『現代のニ都物語』アナリー・サクセニアンは今?

1996年に出版された"Regional Advantage"『現代のニ都物語』は衝撃的だった。

ボストンの郊外をぐるっと廻る環状線はルート128と呼ばれ、1970-80年代はDEC、ポラロイド、ワングといったIT企業の本社が軒を並べるハイテクエリアとして栄えた。それがメインフレーム、ミニコンの衰退とともに衰退し、かわって1990年代からシリコンバレーが興隆する。これは地域特性によるものか、という問題提起をしたのが、アナリー・サクセニアン。

きょう、その人が今、UC Berkeleyの情報学科長(Dean)になっていることがわかり、本当に驚いた。もともとBerkeleyの出身者だそうだが、あれか10年、今もシリコンバレーで活躍するインド系、中国系の研究者が、その後母国にもどり、インド・中国のIT産業、半導体産業の立役者となっているという実証研究をしているようだ。いわく、"Regional Advantage in global economy"

中国本土からの留学生は博士号を取った後も米国に定住するケースが多い。そうした中、インターネットバブル崩壊、インド・中国政府の経済政策転換が引き金になって、自国に戻って会社を興すケースが増えているという。また、シリコンバレーの人脈と自国の産業界をつなぐことで、シリコンバレー以上のスピードでIT・半導体産業構造を改革する原動力となっている、との実証研究成果を公開している。

最近発表された論文、"From Brain Drain to Brain Circulation: Transnational Communities and Regional Upgrading in India and China "は要注目。

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