2008-01-09

GoogleがIBMと協業し大学に大規模データ処理環境提供

年が改まると、毎年今年はどういう年にしようかと、仕事についての抱負を考えるわけですが、ここ数年、年末年始は社内ITシステムの切り替えが続き、正月も出勤続きでゆっくり休む暇もなく、抱負を考える余裕がありませんでした。

今年は昨年7月に職場を異動したこともあり、おかげさまでゆっくり休むことができました。天気もよく毎日近所をブラブラ歩き回りましたが、休みが取れると今度は怠惰でゆっくり1年の抱負を考えることもしませんでした。

というわけで、7日に初出社し、PCを立上げ、最初に目に飛び込んだ情報、そして急いでプリンタから出力したニュースは何かをお伝えし、今年の抱負にかえさせていただきたいと思います。

注目した記事はBusiness Weekの2007年12月13日の記事:Google and the Wisdom of Cloudsです。

Googleはご存知の通り、巨大なデータセンターを構築し、世界のWeb情報、出版物情報をすべて自社のコンピュータに格納し、情報提供することを目指しています。Business Weekの記事によると、4年前にGoogleに入社した新人ソフトウェア技術者Christophe Biscigliaさんがぜひ実現したいと考えたことは、Googleと同じようなコンピュータ環境を大学研究者に提供すること。

最初は卒業したワシントン大学に40台のデータセンターを作り、コンピュータ・サイエンス学科の学生に、Cloud Computingの実際を教えるカリキュラムづくりを大学と共同でつくり、学生が自ら巨大なデータを処理する術を学べるコースをつくりました。

巨大データの処理に困っている生化学や、薬学、環境工学はじめ多くの研究領域の研究者に噂はあっという間に広まります。とうとうIBMとGoogleが共同で大学研究機関にCloud Computing環境を提供するビジネスで提携発表するところまで話が大きくなりました。

わたしが注目したのは、そのスピードです。Googleの20%ルール(20%の時間は自分の好きなことに費やしてよい)は有名ですが、それでも1年ちょっとで、世界ではじめてのことを成し遂げるには、非常に高い目標設定が必要ですし、それを実現するための第1歩は、1-2ヶ月で実現できるところまで具体的なブレークダウンができていないと、まわりの人を巻き込んだ行動はGoogleといえども起こせないと思います。

2006/11/10 ワシントン大学にデータセンター構築
2007/1/3  コンピュータ・サイエンス学科で新講座開始
2007/10/8 Google/IBMと提携発表
2007/11/15 MIT、スタンフォードなど6大学がGoogle/IBMと提携発表

この試みは、歴史的に見ると、過去電力を自家発電に頼っていた時代から、大手電力会社からどの会社も電力供給を受けるように転換したことに相当するコンピューティング・サービス提供の寡占化につながるかもしれません。

もう大学・研究機関・会社毎にサーバを持ったり、データセンターを構える必要がなくなる時代が来るかもしれませんね。こういう大きなことが、1人の新人ソフトウェア技術者から発すること、これが本当のイノベーションだと感じました。

今年は、わたしもスピード重視で、大きなことを成し遂げるための全体の青写真(Blueprint)を持った上で、かつ最初の1-2ヶ月でまず何を実現するか具体的なプランを示して、まわりの人びと巻き込んでいく『推進力』をだしていきたいと考えます。

ちなみに、ワシントン大学での講義録には、Googleが得意としているCloud Computingのアルゴリズムに関する論文情報も載っています。

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