コロンブスはまさに「世界が丸い」ことを証明するために航海に出て、北米大陸を発見し、世界が丸いことを証明し、世界中が目を丸くしたわけです。
21世紀の今、「世界が平ら」になったことが、コロンブスの大陸発見と同じくらい、大きな「世界観」の転換を促している、ということを著者はインドで見つけてビックリして、この本を書いてそのことを伝えたいと思ったわけです。著者はジャーナリストとして、自らインド・中国を訪問して、自分の目で見て、聞いたことを具体的にわかりやすく書いていて迫力があります。
ユビキタス社会とか、NGNとか、なかなかわかりやすく説明できないわけですが、世界は今こうなっている、こう動いている、企業はこう戦っている...という著者の圧倒的なメッセージ(世界観)をもたないと、「その世界のために、今何ができるか」という的確な提案はできないと感じました。
きょう読んだページには、
「インドがなぜアウトソーシングの一大拠点に成長したか」が書かれています。
(2006年度英語版p.130-135)以下は、要約です。
【インドの成長要因】
(1)ネルー元大統領による国民教育の重視
(2)Y2K(2000年問題へのソフト対応要員不足)
(3)インターネットバブルによる光ファイバー網への大規模投資
(4)バブル崩壊による大量の失業者排出
インドは長い外国による統治を経て独立を手にすると、ソビエト連邦型の共産主義政策を基本とする国づくりが行われたが、唯一米国のMITをはじめとするエンジニアリング教育政策を模倣し、IIT(Indian Institute of Technology)という大学教育機関をつくり、優秀なエンジニアを毎年数万人規模で排出し続けた。
卒業生の内、何割かは米国に渡り成功を修める。しかし、インターネットの普及により、インド国内に残った技術者も、Y2K問題対応のソフト労働力不足に悩む米国企業の安いIT要員として、年号に関わるコード修正という地道な作業を成功裏に行い、米国企業に実績を認められる。
光ファイバー網への過剰投資は、インターネットバブル崩壊を生み出したが、資産として光ファイバー網は残り、倒産した企業から安く資産を引き取った企業によりインターネット利用コストは大幅低下し、だれでもどの国でも容易に利用できる環境が整った。
一方、バブル崩壊により職を失った大量のインドから来たエンジニアは帰国を余儀なくされた。加えて米国企業は生き残りのため、一層のコスト削減圧力を受け、インドに帰国した元社員に従来より安いコストで同じ仕事を委託するようになった。これがアウトソーシングのはじまり。
今や、インドのIITを卒業する大量のエンジニアは、無理に米国に渡ることなく、自国にいながらにして米国企業の社員もしくはインド企業の社員として、米国企業のために働く場が与えられている。
【インドの強み】
(1)米国企業並みのインターネット環境
(2)大量の優秀なエンジニア
(3)やる気・上昇志向の人財
(4)米国との時差利用による24/7/365労働提供
(5)米国社会に根付いたインド人経営者・学者・投資家ネットワーク
こうしたインドを活用できない企業は、別の差別化をしない限り、コスト・リードタイム・品質で勝てない。
Wikipediaから本の情報を念のため再掲します。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フラット化する世界(ふらっとかするせかい、原題 The World Is Flat: A Brief History of the Twenty-first Century)はトーマス・フリードマンの著した21世紀初頭のグローバル化の動向を分析する本。2005年に初版、2006年に増補版(Updated and expanded)が発売された。ニューヨークタイムズ・ベストセラーになった。
インターネットなどの通信の発達や中国・インドの経済成長により世界の経済は一体化し同等な条件での競争を行う時代にいたると述べる。
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