2026-05-12

NHK 病院ラジオ

 昨日、NHK ONEのサービスを毎朝観ていることを書きましたが、先日の「病院ラジオ」:千葉県にある救急救命センターの番組は、身につまされる内容でした。

年間1万件以上の受け入れというから、毎日30台以上の急患がお世話になっている勘定。

治療のおかげで命を長らえることができた患者さんだけでなく、救えなかった命も多いのでしょう。番組に登場する方は、運よく命を長らえた人だからこそ、ことばに力がある。

TVの中で、ローカルラジオ番組を聴く入院中の患者さんや、医療従事者の方々の姿も画面に映し出される。不思議とラジオに聴き入っている、映像付きのラジオ番組という新しいメディアのように感じる。

きっと話手とインタビューする司会者の距離が近くて、決まったセリフを追う会話ではなくて、自然なおしゃべり、声のトーンがラジオに近いからか。会話している人だけでなく、その会話をラジオを通して聴きいっている人の映像やちょっとした声が、いい。

この番組を観てつくった歌集が、第三十五歌集 耳をすませば。

海外からこのブログをご覧いただいている方もいらっしゃるようなので、今回は英語短歌も添えてお届けします。









第三十五歌集 耳をすませば(Listening Closely)

In hospital rooms at night,

people sometimes discover

they are not alone.


These tanka are about listening—

to voices, silence, music,

and the small lights returning to human eyes.


生きのびて

語る言葉に

耳澄ませ

われだけでない

夜がそこにある


surviving—

I listen closely

to spoken words

realizing

the night is shared


「自分だけ」

ではなかったと

ラジオ聴く

その沈黙に

灯ともりゆく


“only me,”

I once believed—

listening to the radio

even the silence

slowly fills with light


ラジオ聴き

「ああ同じ」と

洩らしつつ

手を開閉す

目に力あり


listening to the radio

“ah, the same…”

he whispers

opening and closing his hands

strength returning to his eyes


クイーンを

リクエストする

まなざしに

声なき喉の

光宿れり


requesting Queen

his eyes brighten—

in the voiceless throat

a small light

begins to live


「笑ひ声

好きな人です」

そのときに

ふいに誰かが

目を伏せてゐる


“I love

people who laugh,”

someone says—

and suddenly

another lowers their eyes


収録を

終へた司会者

小さく言ふ

「家族に会ひたい」

夜の帰り道


after recording

the host quietly says,

“I want to see my family”

on the long road home

through the night


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