2026-05-08

第四歌集 白線の向こう

三月場所は、毎日の楽しみでした。

小兵力士が大きな体のお相撲に挑む取り口に、拍手したり、くやしがったり。玉鷲の体力気力にも感動しました。

そんな中、何十年も前に家族で旧国技館で相撲観戦したことを思い出しました。地下鉄の駅をでると、もう焼き鳥の香りが漂ってきて、わくわくしたこと、大声でご贔屓力士を家族と声援しました。

毎場所のテレビ放送をそれぞれの家庭で見ては、取組後に電話で長々とご贔屓の相撲をあれこれ語り合う家族の姿も思い出しました。自分たちもそうした相撲観戦が楽しみな年になったね、と妻と語り合いました。














花道を口引き締めて立合いへ帰る花道の肩の悔しさ

懸賞旗二重三重に回りゆき仕切る力士の見えぬもどかし

天井へ届くまき塩ひとりありぽしょりとつまむ勝負いかに

白線の前にそびえる横綱へ挑む小兵目に恐れなし

仕切り重ね増す不安を振り払ひどんと立てどもばたり手をつく

軍配を返して響く「ハッケヨイ」白足袋すり足力士追ひゆく

つっぱりていなし肩透かし攻防に観客席のどよめき高し

負けは負け電車道にて俵際勢いあまり勇み足つく

白線の隔てる距離を横綱と平幕の身が金星越ゆる

無表情のインタビューでも初金星よろこび滲む声裏返りて

初金星懸賞あつしその束を親方に渡し笑顔で報ず

大関は勝ちても負けても口結び親方となれば解説深し

幕内の鉄人思ふ今日の一番振り返るのは引退のとき

「富士桜」声からす父懐かしき国技館には焼き鳥の香

ひいき筋の勝ち負け語る電話越し母と叔母との声華やげり

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