2026-05-11

第七歌集 画面の向こう

3月のWBC準決勝はマイアミでしたが、その頃東京の花はまだ開くかどうか毎日ニュースになっていました。

治療中のわたしは、NHK ONEのサービスにはまっていて、朝4時に起きると海外のいったことのない街を走る車路面電車の車窓からの景色や、クラシックTVや、72時間のドキュメントなど、片っ端から見続けています。

わたしにとってTV画面は、壁にあいた窓のようで、新しい人との出会いや、情報はその窓から差し込む光のようなもの。

家に居ながらにして、マイアミのWBCの試合を熱く応援しました。マイアミの球場には行ったことがありませんが、ホットドッグやポップコーンの香りがするようで、マイアミでその昔食べたシーフードやワインの香りを思い出しました。

マイアミは青空で、春のさなかでしたが、東京は冷たい雨が花の蕾を固くして、春が少し遠のいた感がありました。花寒が過ぎて、花開いたときのうれしさなど詠ったものが第七歌集となります。
















河の流れを辿る船旅映像に病床離れてわれも旅する

一日中テレビしか見ぬわれなれどこんな人もと世の色豊か

画面映るボールパークの興奮にポップコーンの香りよみがえる

フロリダのザリガニ料理思い出すガーリックバタージャパン勝負飯

風ぬるむ薄紅の雲切れ間より幼子こぐを見守る老婆

花の雨ふくらむ蕾とぢながら春を待つなりわれも待つなり

蕾ふくらむ音風に乗り枝越えて向こうの気配花ひらき来る

花かすみ進む春見えひとときに心はずみて足も軽しも

十三打数無安打胸にひめながら打席に立てば首位打者忘る

打ち損じバットの軌跡思い巡るいまは白球止まって見ゆる

白球見送るミットの音して最後の打者ボールパークに沈黙おりる

テレビより出会う人あり調べれば遠き人生わが道に触る

いちごパック買う人ありて手に取りて下よりのぞく傷みあるかと

この道はひとすじに登る道といふ校歌いま聞けばわが身に沁みる

ゆるゆると歩むわが日を春とせり桜の蕾もゆるゆるほどく

灯が次々消えてわれもテレビ消すさきほどまでの世界遠のく



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