今日の絵は、Graphic Recorderである清水淳子さんに描いていただいた一枚です。
十年以上前、会社の研修会に清水さんに参加していただき、わたしたちメンバーと一緒に、議論の内容を絵と言葉で可視化していただきました。
そのときに描かれたのが、この「Crafting Your Story」のグラフィックレコーディングです。
清水さんは、Yahoo! JAPANで働かれる中で、Graphic Recordingという手法を使い、複雑な議論や思考をわかりやすく可視化する活動をされていました。
特に印象的だったのは、データサイエンティストが見ている世界、つまり数字や分析によって見えてくる世界を、単なる説明ではなく「人に伝わるストーリー」として表現する方法を教えてくださったことです。
清水さんの著書に、
『Graphic Recorder ― 議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』
があります。
当時この本を拝読し、議論を絵で記録するだけでなく、そこに流れている意味や感情まで可視化できることに、大変刺激を受けました。
今日の絵のテーマは、
「人に伝わる話は、どのような流れを持っているのか」
ということでした。
題材になったのは、トム・ハンクス主演の映画『プライベート・ライアン』です。
なぜ観客はこの映画に感動するのか。
そのストーリー展開は、どのような構造になっているのか。
それを、グラフィックレコーディングの手法を使って描き表したものです。
絵の中には、物語を構成する要素がいくつも描かれています。
• 登場人物
• 事件
• 感情
• 決意
• 困難や試練
• 圧倒的な障害
• ライバルの存在
• 非日常
• 守るべき大事なもの
• 変化と学び
感動する物語では、主人公がただ順調に進んでいくわけではありません。むしろ、主人公は困難や試練にぶつかります。ときには圧倒的な障害に立ち向かわなければなりません。その中で、主人公は何かを選び、何かを失い、何かを守ろうとします。そして物語の終わりには、主人公自身も、見ている私たちも、最初とは少し違う場所に立っています。
だからこそ、そこに「感動」が生まれるのだと思います。
この研修で面白かったのは、映画のストーリー構造を学ぶことが、仕事の伝え方にもつながっていたことです。
データ分析の結果を、ただ数字で示すだけでは、人にはなかなか伝わりません。しかし、そこに次のような流れが生まれると、分析は「報告」から「物語」になります。
• 何が起きているのか
• なぜそれが問題なのか
• 誰にとって大事なのか
• どんな困難があるのか
• 何を変えればよいのか
この手法を学んだあと、わたし自身もストーリーボードを描いてみました。
こちらは、楠木建・一橋大学教授の講演を聞きながら描いたものです。テーマは「すぐれた戦略の条件」。
楠木先生は、すぐれた戦略は単なる箇条書きの計画ではなく、「ストーリー」として構築されるものだと語られていました。
わたしが描いたストーリーボードの中には、次のような言葉が残っています。
• 違いをつくる
• つなげる
• 商売の素をつくる
• 商売の肝をつくる
• 本当は何を売っているのか
• ストーリーとしての競争戦略
戦略とは、立派な言葉を並べることではありません。
「なぜ、それがうまくいくのか」
「どこに独自性があるのか」
「一つひとつの打ち手が、どのようにつながっているのか」
それを語れることが、すぐれた戦略の条件なのだと感じました。


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