2015年から2016年頃のことです。
日本からでもMIT(マサチューセッツ工科大学)のオンライン講義を受講できる環境が整い始め、私はedXで「Black Ships & Samurai」というコースを受講しました。
当時の私にとって、MITの授業を横浜の自宅にいながら受けられること自体が驚きでした。しかも受講料は無料です。
コースの内容
この講義は、MITの歴史学者ジョン・ダワー教授(John W. Dower)と宮川繁教授(Shigeru Miyagawa)が中心となって進めていた「Visualizing Cultures(文化を視覚化する)」プロジェクトの一部でした。
テーマは1853年のペリー来航です。
ただし単なる日本史の講義ではありません。
このコースの特徴は、
• アメリカ人はペリー来航をどう見たのか
• 日本人は黒船をどう見たのか
• 浮世絵や絵巻、版画、挿絵などの視覚資料に何が描かれているのか
• そこから当時の人々の価値観をどう読み解くのか
を学ぶ点にありました。
私はそれまで歴史を文章で学ぶものだと思っていましたが、この講義では「絵を読むことによって歴史を理解する」という新しい視点を知りました。
たとえばアメリカ側の絵では黒船艦隊が雄大で勇壮に描かれています。一方、日本側の浮世絵では煙を吐く巨大な怪物のような船として描かれることもありました。
同じ出来事でも、見る側によって全く違う世界が現れるのです。
当時感じたこと
講義そのものも素晴らしかったのですが、私がより強く印象に残ったのは別のことでした。
「これは世界を変えるのではないか」
という感覚です。
インターネットと最低限のパソコン環境さえあれば、
• 日本でも
• インドでも
• 中国でも
• アフリカでも
同じMITの講義を受けられるのです。
人口の多い国々の意欲ある若者が、地理的・経済的な制約を超えて学べるようになれば、その国の競争力を大きく変えるだろうと思いました。
そして十年後の今、その流れはさらに加速しています。
AIによる自動翻訳によって英語の壁は低くなり、字幕や教材も各国語で読めるようになりました。
当時私が感じた未来は、想像以上の速度で現実になりつつあるように思います。これぞ、黒船か。
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今でも受講できます
edX版は終了していますが、MITの「Visualizing Cultures」サイトは現在も公開されており、当時の教材を読むことができます。
Black Ships & Samurai
MIT Visualizing Cultures: Black Ships & Samurai
ペリー来航と開国を、日本側とアメリカ側双方の視点から学ぶことができます。1853年7月8日、黒煙を上げる外国軍艦が日本に現れた場面から講義は始まります。
当時描いた黒船のスケッチ
講義を受けながら、息抜きにパソコンツールでペリー来航の黒船を描いてみました。
絵の技術は今も昔も大差ありませんが、オンライン教育の新しい時代が始まる予感に胸を躍らせながら描いた一枚です。
どうぞご覧ください。

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